18.4.17

川口フィールドワーク

 子どもたちの春休みの期間を利用してスタッフでフィールドワークを行いました。今回はそのレポートを書かせてもらいたいと思います。

 行き先は埼玉県川口市。川口市は飛躍的に中国人が増加して、ある雑誌で取り上げられていた西川口駅に降り立ってみると中国語の看板が多く目につき、まだ観光地化されていない、住民が普段使うような飲食店や食材店がいくつもありました。しばらく街を散策した後、中華街にはないような雰囲気のお店を見つけ入店。メニューもやはり中華街では見られないような羊肉やアヒル、蛙などの食材を使った料理があり、出てきた料理の味付けは辛く、そしてスパイシー。目にも舌にもとても刺激的で、汗を垂らしながらも美味しくいただきました。

 その後バスで移動し、今回のフィールドワークのもう一つの目的である芝園団地自治会を訪問しました。芝園団地は1978年に建設された2454戸を有する大きな団地ですが、高齢化が進むのと並行して外国人住民が増加し続け、現在は全世帯の半分を外国人が占めていて、その9割が中国人だそうです。

 自治会の方に団地を案内してもらいながら説明を聞いていたのですが、見た目では課題が分からないくらい綺麗で静か。外で遊んでいる子どもたちは中国語を話していましたが、言葉が中国語なだけでごく日常的な団地の風景が広がっていました。病院、幼稚園、スーパー、飲食店も敷地内にあり、非常に住みやすそうな印象があり、周辺地域には高い建物がないために団地の最上階から見える景色は壮観でした。蕨駅から徒歩10分ほどで東京まで京浜東北線で30分という立地の良さ、比較的割安な家賃、そして団地の利便性なども人気の理由だそうです。そして一緒にフィールドワークに参加していただいた大学の先生は、以前見た中国の団地に似ていて、そういったことも含め中国人には住みやすいのではないだろうか、という話をされていました。

 一昔前は生活習慣の違いによる問題がいろいろとあったそうです。また中国の賃貸物件では、「自治会」という概念がないらしく、当時、自治会に加入する外国人の世帯はわずか数世帯でした。夏祭りなどのイベントを催して参加してくれても結局日本人と外国人がそれぞれ楽しんでいるような状況で、交流のきっかけにはならなかったそうです。その後、住民、市役所、管理会社で話し合い、中国語の通訳スタッフを管理事務所に配置し、日中併記の注意書きを掲示するなどして生活の問題は徐々に解消されていったそうです。

 加えて、団地の国際交流イベントにボランティアスタッフとして参加していた大学生が地域の活性化を目的に「芝園かけはしプロジェクト」を立ち上げ、自治会と団地の住民をつなぐ役割を果たしました。地域活動を続ける中で「日本人と外国人の交流が希薄なだけではなく、そもそも日本人同士の交流もあまりない」という課題が見え、高齢者の集まる場「芝園サロン」を定期的に開催。また、一過性のイベントでは、日本人と外国人が実際に交流していないことに気づきました。そこで、「お客様として交流」することから「プロセスからの交流」にシフトし、さまざまなイベントづくりや時間を共有したことで顔の見える交流が生まれ、イベントへの参加者も増え、結果的に自治会役員になる外国人住民も誕生しているそうです。

 現状としては団地全体で大きな問題はないようですが個人個人が嫌と思うことはやはり問題であり、またイベントに参加する人がいる一方で、団地全体で見ればまだ半数以上の人が参加していない状況で、個々の問題の解消や今後どのように参加者を増やし活動を広げていくのかが課題となっているそうです。

 芝園団地のさまざまな人を巻き込んだ取り組みはまさに「地域の民際化」を促していて、ともに生きていくことへ一歩一歩あゆみを進めているように思え、同じような課題を抱える信愛塾にとっても多くの学びがありました。とても丁寧に案内をしてくださいました芝園団地自治会の皆さま、改めましてありがとうございました。

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