18.5.22

多文化共生センター東京

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先日、東京都荒川区にある認定NPO法人多文化共生センター東京(以下共生センター)に伺ってきました。共生センターでは日本語指導を必要としているものの母国で中学を卒業している、もしくは学齢を超過しているために日本の中学に入学できず学ぶ場のない16歳から20歳の子どもたちを対象に、日本語学習や高校進学指導もする「たぶんかフリースクール」の運営、また、日本語支援が必要な外国にルーツを持つ小学生以下の子どもを対象とした親子日本語クラスなど、様々な学習や進学の支援を行っています。今回は共生センターの代表である枦木さんとスタッフの王さんにお話をお聞きしました。

昨年末時点で在日外国人数は256万人を超えました。東京は都道府県のなかでも最も多くの在日外国人が住んでいて、その数なんと53万7千人。全国の約1/5の在日外国人が東京にいることになります。そのような土地柄にもかかわらず、行政によるサポートは地域によって偏りがあり、共生センターのある荒川区もサポートがまだ手薄であるのが現状だそうです。そして区外に加え都内中から、さらに隣の埼玉県や千葉県から通ってくる子どもたちもいて、それこそ先日フィールドワークで訪問した埼玉県の川口から通ってくる子どももいるそうです。共生センターに通う子どもたちの国籍や出身国は中国、フィリピン、タイ、ネパール、バングラディシュ、エジプト、ベトナム、イギリス、エチオピア、ペルー、ミャンマー、インド、モンゴル、インドネシア、コンゴ、、、などなど。これだけ様々な国にルーツがある子どもたちが通って来ているのも東京という土地柄なのかもしれません。

その日は朝10時に到着して話を伺ったのですが校内はとても静かでした。ちょうど授業が始まった直後だったこともあるのかと思いますが、生徒数そのものがまだ少ないそうです。教室が3部屋あるそうですが今稼働しているのは2部屋のみだそうです。教室の広さからしても比較的余裕がある印象でしたが、これが秋になる頃には3部屋では足りないくらいの生徒数になり、年度をまたいでフリースクールに通いたい子どもにも、もっと困っている子どもを優先しなければならないために通学を断らなければいけないときもあるそうです。子どもたちは自分の居場所となっていくためにも通い続けたいと思う。しかし、一方でスペースは限られてしまっている。信愛塾でもそうですが場所を抱えているが故に心苦しいところです。

授業は日本語の授業を重点的に行なっているようで、少し授業を見させてもらいましたが、先生に当てられた生徒たちはまだまだ話すことに慣れない日本語で恥ずかしそうに解答していました。ですがもちろんこの年度末にはもう受験に臨まなければなりません。都立高校の受験では、神奈川にもあるように来日3年以内の受験生を対象とした優遇制度があります。辞書の持ち込みや試験時間の10分延長が認められるようですが、神奈川との大きな違いは、限られた枠ではあるものの「日本語での作文+面接」もしくは「英語での作文+面接」だけの試験による合格枠があるそうです。ただ比較的受験はしやすいものの母語が英語圏ではない子どもは優遇されにくいこと、そして合格後に課題を先送りするシステムでもあるように思えます。もちろん合格できた事自体はとても素晴らしいことだと思いますし、合格した子どもも一人ひとり状況は違います。しかし中学校までは行われている国際教室などの一人ひとりに寄りそったサポートが乏しかったり整っていない中で、言葉も内容自体もより難しくなる授業を受け、学校生活を過ごしていかなければならないことは子どもにかなりの苦労を強いるものでもあると思います。枦木さんも子どもたちの高校進学後のサポートは今後の課題であるとお話されていました。入学できたもののフォローのない環境でやはり諦めてしまったり、言葉以外でも経済的に不安定な状況にあり学年を上がるタイミングで退学してしまう子どももいるそうです。一方で高校を卒業し大学や専門学校に進学していく子どももいて、彼らがフリースクールの在籍生にとって身近でわかりやすいロールモデルになっているようです。できれば今後、進学や就職を果たした地域で活躍しているフリースクールの卒業生の話を聞くことができる場を設けていきたい、という希望もお話ししていただきました。

区内や都内だけでなく近隣の県からも困っている子どもが通って来ている状況、高校受験の優遇制度がもたらすメリットとデメリット、子どもたちの将来のことなど印象深いお話を聞かせていただき、通っている子どもの状況や地理的条件など様々な違いあるものの、信愛塾と共通する課題も多々あったように思います。それらの課題に信愛塾ではどのように向き合っていくのか、電車に揺られながら頭を巡らせ信愛塾に向かった一日でした。

多文化共生センター東京の枦木さん、王さん、改めましてありがとうございました。

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